2009-11-25 編集

11/15 息子の誕生会をしました。息子は3歳です。娘は6ヶ月。早いもので、もう3年、もう6ヶ月が過ぎてます。子供の成長は目を見張ります。いろんな事を、スポンジの様に吸収している。それにひきかえ私は・・と思うとやる気がでます。

司馬遼太郎原作のNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」(第1部、全5回)が、11/29午後八時から放送されます。天地人はその先週が最終回でしたね。
※「坂の上の雲」は大河ドラマではありませんからご注意を。

坂の上の雲」という小説はご存知ですか? 「経営者が勧める本」に必ず上位になる小説です。組織のトップはどうあるべきか? どのように決断しなければならないのか? そういった疑似体験や判断基準など、示唆に富んでいるからかもしれません。私も経営者何人かに聞いたことがありましたが、「坂の上の雲」とおっしゃった方を2人ほど知っています。

また私が期待しているもうひとつの理由に「坂の上の雲」の映像化は、生前著者が頑なに拒否していた経緯があります。理由は定かではありませんが、この小説は、捉え方によっては、青春群像劇ともとれるし、戦争肯定ともとれる。どのように映像化されるかわからないから とか、小説の中の主人公のその後が、宗教に嵌ったから など色々な理由が囁かれています。

司馬遼太郎さんが亡くなり、著作権が奥さんに移って、許可をもらい、映像化にこぎ着けたのですが、まだまだ、難題があったんですね。
当初は2006年に映像化される予定でしたが、脚本家の自殺や、エビジョンイル問題などがあり、延期されました。そのような紆余曲折を経ての放送なのです。

司馬遼太郎というペンネームの由来ですが、著者の愛読書に司馬遷の[史記]があり、そこから取ったとうです。

[史記]に感動した著者が、歴史を後世(の日本人)に伝えたい という思いから、司馬遷に遼(はる)かにおよばないが、日本の男(太郎)がここに立つ と言った意味があるそうです。(確か、深代さんの天声人語に書いてありました) 「坂の上の雲」興味がありましたら、ぜひ。


ここからが、本題です。今回は『編集』について書きます。
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Vol29にも書きましたが、IT(ICT?)エンジニアといて、技術/テクノロジに対して興味を持つことはもちろんですが、その他に3つ大切なことがあると感じています。

『編集』『お金』『人』

今回は「編集」をテーマに書きます。まずは下記の1文を読んでみてください。

ここではきものをぬいでください。

皆さんは「履物」を脱ぎますか? 「着物」を脱ぎますか?

我々はIT/ICT業界にいます。ITはInformation Technology。情報技術と訳されます。では、情報とはなにか?

我々が生きていく上で必要なもの全てが情報です。五感で感じるものは全てです。

見る、聴く、嗅ぐ、味わう、触れる

これが、情報の原点でしょうか?

さらに小さい、感覚では捉えることのできない情報があります。実は、我々自身も情報と言えるのです。それはDNA。
DNAに書かれている情報(コード)を複製することによって、生きているんですね。原子レベルで見ると、新陳代謝を行っている。新しい原子を取り入れて、古い原子を排出している。約3日で、全ての原子が入れ替わる と言われています。物質的には、3日立つと別物なんですね。なので、自分が自分たりうるのは「情報」なんです。

こういった情報を取り扱うために技術を駆使している業界に身を置いているんだと。

で、編集とはなにか? 

情報を区別し、組合わせる こと です。
最初の例文のどこかに「、」を入れることによって、意味を伝えることができる、即ち「編集」なのです。

ここで、はきものをぬいでください
ここでは、きものをぬいでください

情報の編集や伝達がどのように行われてきたか を振り返えると、人類史上では、文字が画期的でした。その次に保管できる紙の登場のよって、伝達できる情報の量は飛躍的に伸びました。ではそれ以前はどうしてきたと思いますか?

口伝、口承 ですね。語り部などが、いまでいう書庫となって情報を蓄積/編集をしていったんですね。で、この語り部などは、盲目などハンデを追った人が多い。そういった人を、昔の人はアーカイバーとして使ったんですね。有名どころでいうと、平家物語語り部である、琵琶法師(耳なし法一)も盲目ですね。

そんな中で、人類史上最古の語り部 と言われているのが、ホメロイという人です。「イリーアス」と「オデッセイア」という2つの英雄叙事詩を語ったといわれています。

私自身も物語の中身はしりませんが、そういったものがある と理解しています。
ホンダの車名で「オデッセイ」というは聞いたことがあるのではありませんか?
これは、オデッセイアの主人公からとっているものなんです。

2大叙事詩はホメロイが作った ということで理解していますが、(この当りも古いことなので諸説あり、もしかしたら、歴史家によってコペルニクス的転回を経験するかもしれませんが)、これが編集という効果があったとみています。アーカイバ(書庫人)として情報を蓄積されてきたホメロイが、自分なりに編集して物語(英雄叙事詩)を作ったと。それが民衆にうけて(面白い/整理されて覚えやすい)、後世まで伝わった んじゃないかなと思っています。

このように情報とは口承で伝えられ、語り部アーカイブされときには編集されてきた。で、その編集によって、整理されてものが、人間にとって重要な情報になる という歴史があるんですね。

では、人類史上最大の編集者は誰だと思いますか? 

これは一番売れた本になると思います。それは、聖書です。聖書は色々な人に書かれていますが、編集者としての力量が最も高かったのは、パウロなんだと思います。

キリスト教の歴史を振り返ると、初めは、ユダヤ教の傍流でしかなかったのですが、パウロという優秀な編集者のおかげで、世界最大の宗教に拡大しましたからね。このようなことから偉業を成し遂げた人物は、編集能力に長けていた と考えることができるのです。

情報/編集は、口承(頭の中)→文字→紙→電子→映像 と進化してきています。
また、遠隔手術ロボットなど、触感を転送したり、NTT研究が香りを転送する技術などを発表したりしているのが、情報技術の世界に身におく人として、意識すべき重要なことであると。

長くなりましたが、「編集」とは、雑誌記者などが身に付くべき技術ではなく、誰もが必要とする重要なビジネススキルと考えに至ったことを纏めてみました。